5分でわかる!でんさいのメリットと導入ステップ

でんさいのメリットと導入ステップ

2021年2月、経済産業省は2026年をめどに約束手形の利用廃止を求める方針を明らかにしました。これは2016(平成28)年9月、中小企業庁が親事業者と下請事業者双方の適正取引や付加価値向上、サプライチェーン全体にわたる取引環境の改善を図ること等を目的とした資料「未来志向型の取引慣行に向けて」に基づくもので、中小企業庁でも「支払条件の改善」の取組を推進しています。今回のコラムでは、約束手形に代わる手段である「電子記録債権(以下、でんさい)」について、そのメリットと導入ステップについて紹介します。

*****目次*****

でんさいが登場した背景
でんさいの取引イメージ
でんさいの利用メリット
でんさいの導入ステップ
最後に

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1. でんさいが登場した背景

約束手形とは、取引先への支払を猶予してもらうことで、払出人側の資金繰り負担を軽減する手段です。高度経済成長期には銀行融資の代替手段としての企業間信用の仕組みとして活用され、1990年には約束手形の交換高が4,797兆2,906億円に達しました。しかし、その後は新株発行などエクイティファイナンスといった資金調達手法の多様化、インターネットバンキングやでんさいなどの多様な決済手段の普及により手形の発行残高は減少し、2020年の約束手形の交換高は134兆2,534億円と1990年のわずか3%となっています。手形の利用割合は業種によっても異なりますが、お客様からの支払サイトが長い建設業では手形利用が減らないというデータもあります。

その一方、約束手形での支払いは受取側の受取サイトが長くなって資金繰りが苦しくなる、紙で管理をする事務コストが高いというデメリットがあります。そこで政府は、①下請への支払はできる限り現金によるものとすること、②支払サイトについて、建設業は120日以内にすることは当然として、段階的に短縮に努めるものとし、将来的には60日以内とするよう努めること、として、「約束手形の廃止」に向け、2016年12月には手形通達を改正しました。

また、2021年には「約束手形をはじめとする支払条件の改善に向けた検討会」を実施し約束手形の廃止に向けた取組みを推し進めています。この解決策のひとつとして、事業者、特に中小企業の資金調達の円滑化等を図るために創設されたのが“でんさい”で、2026年度までには紙の手形の全面的な電子化が目指されています。

 

2. でんさいの取引イメージ

でんさいの取引イメージ

でんさいは、基本的には紙の手形と利用対象者が似ていて、法人、個人事業主、国・地方公共団体が対象です。その他、反社会的勢力に属さないなど、利用者としての適合性に問題がないこと、金融機関に決済口座を開設していることなど、属性要件、経済的要件、利用資格要件を満たす必要があります。また、でんさいを利用する際は取引先もでんさいを利用している必要があります。

また、でんさいは、一般社団法人全国銀行協会が100%出資する株式会社全銀電子債権ネットワークが運営しています。銀行の信頼・安心のネットワークを基盤として、電子記録債権を記録・流通させる新たな社会インフラを全国的規模で提供している同会社が、電子債権記録機関としてでんさいの記録原簿を備え、利用者の請求に基づき電子記録や債権内容の開示をおこなっています。

でんさいの発生・譲渡・開示などは窓口金融機関を通じて行います。でんさいが利用できる金融機関は、銀行、信用金庫や信用組合などでんさいネットに参加している全国の金融機関です。一社が複数の金融機関ででんさいを利用することも可能です。

 

3. でんさいの利用メリット

紙の手形からでんさいに変えるメリットは、支払企業側と納入企業側双方にあります。

でんさいのメリット

まず、支払企業(債務者)に対するメリットですが、主に支払い事務の軽減や搬送コストの削減が挙げられます。たとえば、紙の手形の場合、紙を搬送する費用や印紙税負担が大きいのですが、でんさいなら、手形の発行・振込の準備など支払いに関する面倒な事務負担が軽減され、また、紙の手形と異なり印紙税が課税されないので節税効果も期待できます。また、手形、振込、一括決済など複数の支払い手段があり非効率だったところを、でんさいを活用して支払い手段を一本化することも可能となるので効率化が図れます。

納入企業(債権者)側にもメリットがあります。もちろん紙ではないので紛失や盗難の心配がなくなり、管理コストを削減することができます。さらに、紙の手形は取り立て手続きが面倒ですが、でんさいなら支払期日になると取引金融機関の口座に自動で入金されます。また、でんさいは手形に比べ流通性が高いのが特徴です。必要な分だけ分割して譲渡や割引をすることが可能ですし、資金繰りのために利用できなかった債権も譲渡や割引が可能になり無駄なく有効に活用することができます。

 

4. でんさいの導入ステップ

でんさいの導入ステップ

でんさいの導入も簡単です。まず、でんさいで支払をしたい企業はでんさいに切り替えた時のコストメリットをでんさいのWebサイトで試算することができます(金融機関によって手数料は異なります)。社内事務や会計システムなど運用する際の手続きも確認しましょう。そのうえで、取引先にでんさい切替えの案内状を発送します。取引先の中では、まだでんさいを使っていない企業もあるので、でんさいのWebサイトにあるチラシなどを使って取引先に説明するのもいいかもしれません。そして、取引金融機関とでんさいの利用契約を行います。そしてでんさいが使えるようになります。本格的な運用前に親密先数社で利用して、相手先が問題なく使えるか、社内での運用手続きに問題がないか確認してみましょう。

では、取引先からでんさいで受取をしてほしいと言われたときはどのようにすればいいのでしょうか。取引先から案内状が届いたら、でんさいに切り替えた時のコストを試算してみましょう。そして、社内事務・会計システムを確認し、問題がなければ利用について社内決定をします。そして、取引金融機関とでんさいの利用契約を行い、取引先に回答書を返送すれば利用準備は完了です。

◎でんさいWebサイトはこちら

このように、紙の手形からでんさいに切り替えることで、事務手続きを楽にすることが可能です。紙の手形が廃止になる前から準備しておきましょう。

 

5. 最後に

ここまで紹介したでんさいですが、でんさいのメリットは流通性が高いところにありました。受取企業としては、融通がきくでんさいを使って資金繰りを円滑にすることも可能です。資金繰りを円滑にする方法としては、ランドデータバンクの立替決済サービスもおすすめです。支払サイトが長い建設業のみなさま向けのサービスで、建設会社など支払企業に代わり工事代金を立て替えて協力会社など債権者にお支払い、完工後に工事代金の入金をしていただくことで資金繰りの円滑化をサポートします。詳細は以下のリンク先をご覧ください。