プライムコートとタックコートの違いがわかる!アスファルト乳剤の目的から使い方まで簡単解説。

アスファルト乳剤の目的と散布方法について

アスファルト舗装の施工にはアスファルト乳剤の散布という工程がございます。
アスファルト乳剤の散布には、2種類あり、プライムコートとタックコートがございます。
上層路盤の上に散布する乳剤をプライムコート、基層(中間層)の上に散布する乳剤をタックコートと呼びます。

本記事では、アスファルト乳剤について理解するために、アスファルト乳剤を散布する目的から、明日から使える実際に現場で役立つ知識まで徹底解説致します。

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本記事のトピックはこちら
①アスファルト乳剤の目的(プライムコートとタックコートの違い)

②そもそもアスファルト乳剤とは?

③アスファルト乳剤の使い方・散布方法

④アスファルト乳剤の散布量

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①プライムコートとタックコートの違いとは?

プライムコートとタックコートの違い
それではプライムコートとタックコートの違いについて解説していきたいと思います。

①-1 アスファルト乳剤の目的とは?

そもそも、アスファルトってなんのために散布するのでしょうか。
それを理解するためには、プライムコートとタックコートの違いについてまず知っておく必要がございます。

プライムコートとタックコートの違いは簡単です。
アスファルト乳剤に散布する種類は大きく2種類あり、上層路盤の上に散布し路盤とアスファルト舗装の馴染みを良くする乳剤を「プライムコート」、基層の上に散布しアスファルト舗装間の接着を強化する乳剤を「タックコート」と呼びます。

道路の構造については詳しくこちらで解説しております↓
簡単解説!道路の構造ってどうなっているの?アスファルト舗装の基礎知識

①-2 プライムコートの目的

プライムコートの目的ですが、大きく4つございます。

1. 路盤表面部に浸透し、その部分を安定させます。
2. 降雨による路盤の洗掘、表面水の浸透を防止します。
3. 路盤からの水分の毛管上昇を遮断します。
4. 路盤とその上に施工するアスファルト混合物とのなじみを良くします。
(日本アスファルト協会より引用)

たくさんのメリットがありますね!
プライムコートを散布しないと路盤はただの砕石むき出しの層ですが、散布することで薄いアスファルト層がコーティングされ、路盤自体が強化されるわけですね。逆にプライムコートを散布しないと、雨水などが路盤に侵入し、経年劣化で軟弱化していきますそうなると上部のアスファルト層にも大きく影響を及ぼし、早期損傷やポットホール(穴)の原因につながるわけですね。

①-3 タックコートの目的

タックコートの目的は、アスファルト層とアスファルト層の間に散布し、層間の接着を強化することです。要は接着剤ですね。ちなみにタック(tack)というのは英語で「繋げる」、「結合する」という意味があります。プライム(prime)は「最初の」という意味です。舗装の最初に散布するからプライムコートというんですね。

詳しい定義は以下になります。
「新たに舗設するアスファルト混合物層とその下層の瀝青安定処理層、中間層、基層との接着および継目部や構造物との付着を良くするために行います」
(日本アスファルト協会より引用)

タックコートを散布しないと、層間の接着強度が弱いため、車輌が走行する際に層間でズレが生じ、アスファルト層の早期損傷につながります。

 

アスファルト乳剤を使用した道路の補修工法についてはこちら!↓

最新情報!アスファルト舗装の補修工法の種類とは?

 

②そもそもアスファルト乳剤とは?

アスファルト乳剤とは

アスファルト乳剤とは、加熱して液状化したアスファルトに、水や界面活性剤など様々な薬品を加え、高速で撹拌し乳化させた液状のアスファルトになります。これにより、通常であれば加熱することで液体になるアスファルトを、常温でも使用可能にすることができます。

アスファルトといえば、国内で使用されるほとんどが、原油が原料となっています。原油なので、本来は水と混ざりません。それを工場で高速で撹拌し作るわけです。
散布や混合に使用されて時間が経過すると、アスファルト乳剤はアスファルトと水に分解されます。水分が蒸発すると、アスファルトは粘着性が生じ強度が発現致します。分解する前のアスファルト乳剤は茶褐色ですが、分離した後は黒色になります。

アスファルト乳剤を散布した後、分解するまで現場で待機!ということも多いですよね。分解したかどうかの見分け方ですが、乳剤が黒色になり、手に付着しなくなったらOKです。逆に養生せずにアスファルトフィニッシャーやダンプを乗り入れてしまうと、せっかく散布した乳剤が剥がれ、剥がれた部分が早期損傷につながります。

養生時間は気温や湿度、乳剤の種類によって大きく異なるため一概には言えませんが、通常の乳剤であれば30分から1時間半程度はかかると思われます。どうしでも養生する時間がないという現場もあると思いますが、最近では即分解型のタックコート用乳剤も開発されているので、乳剤メーカーに問い合わせてみましょう。
分解が終わったらアスファルトフィニッシャーを乗り入れて舗装を初めましょう!

 

③アスファルト乳剤の使い方・散布方法

アスファルト乳剤の使い方

それでは、アスファルト乳剤の使い方について解説致します。
アスファルト乳剤の散布方法ですが、大きく2つございます。現場の規模や予算によって使い分けましょう。

③-1 ディストリビューターによる散布

ディストリビューターというのは、アスファルト乳剤散布に特化した車輌になります。
「デスビ」というワードが現場で聞こえてきたらこの車のことです。
この車輌には、アスファルト乳剤のタンクが搭載されており、タンクに積載された乳剤を車輌後部にある横一列に並んだノズルから噴射することができます。これにより、大幅な工数・労務削減につなげることが可能になります。機械で施工するため、品質をより良いものにしたいときにも、ディストリビューターはおすすめです。
ディストリビューターによる乳剤散布は各乳剤メーカーで手配が可能です。お近くの乳剤工場に問い合わせて見てください。
1回の手配につき、30,000円~50,000円が相場になります。
ディストリビューターによる散布はオペレーターによる熟練の技術やセンスが必要です。各乳剤メーカーに問い合わせてみて、最適な乳剤メーカーを選んでみましょう。
【参考動画】

③-2 乳剤散布用スプレーヤーによる散布

スプレーヤーでの散布方法ですが、スプレーヤーの先端にはノズルがついており、乳剤が入ったドラム缶や一斗缶にホースをつなぎ供給することで、ノズルから噴射し散布するという方法です。ドラム缶や一斗缶は、乳剤の各メーカーの工場や、アスファルト合材工場に問い合わせれば大体販売していることが多いです。
【参考動画】

持ち出しが簡単なので、小規模な現場で使用されることが多いです。
スプレーヤーは主にギア式(エンジン)とエア式があります。
ギア式はガソリンを動力として散布することができますが、エア式は手動のポンプになります。現場の規模によって使い分けましょう!
それぞれの金額ですが、ギア式のスプレーヤーは30万円~40万円/台、エア式は15万円~30万円/台が相場になります。
それぞれ建機リース会社で取り扱っていることも多いので、まずは近くのリース会社に問い合わせてみましょう。

③-3 その他の散布方法

その他にも散布方法についても簡単にご紹介致します。
1. ジョウロによる散布
一般家庭で使用するようなジョウロに乳剤を入れ、散布する方法です。ササッと撒きたいときに皆さんよく使っています。
2. ローラー刷毛(ハケ)やゴムレーキによる塗布
これもジョウロについでよく見かけますね。一斗缶などで乳剤を路面に流し、それをローラー刷毛やゴムレーキで伸ばす方法です。
3. 乳剤スプレーでの散布
最近ではホームセンターでもよく見かける乳剤スプレーです。舗装継ぎ目の立ち上げ部分にタックコートを散布するときに便利です(ショルダータックコートと呼びます。)。
大体1本1,000円程度で販売されております。1本につき1㎡が目安です。

 

④アスファルト乳剤の散布量

アスファルト乳剤の散布量ですが、プライムコートとタックコートで異なります。

④-1 プライムコートの設計散布量

プライムコート(PK-3)の設計散布量は、アスファルト舗装便覧等によると1~2L/m2とされています。ただ、それでは結局どれぐらい撒けば良いの・・?と困りますよね。
一般的な設計散布量としては、1.26L/㎡です。ほとんどの現場はこの基準値で問題ないと思います。実は変な話ですが、ほとんどの現場では明確な根拠なく、この1.26L/㎡を守って品質管理を行っております。
以前は積算基準書等に1.26L/㎡と記載されておりましたが、現在乳剤散布は積算基準から外れており、明記がなされておりません。その名残がのこっていることになります。
発注者によっては、稀に「1.26Lの根拠は?」と聞かれることもあるので、設計図書を確認しておくか、事前に発注者の意向を確認してみるのも良いかと思います。
プライムコートは散布した後に、養生砂を散布いたします。明確な基準は定められておりませんが、概ね0.001~0.0012㎥(立米)/㎡散布すると馴染むことが多いです。

④-2 タックコートの設計散布量

タックコート(PK-4)の設計散布量は、アスファルト舗装便覧等によると0.3~0.6L/m2とされています。
こちらは一般的な設計散布量は0.43L/㎡になります。こちらもプライムコートと同様明確な根拠はございませんが、余程の指定が無い限りこの基準を守っていれば間違いないと思います。

 

以上になります。いかがでしたでしょうか。
明日からの現場ですぐ活用できる基本知識だと思いますので、是非覚えていただければと思います。公共工事における発注者のなかには、知識が少ない方やこちらの知識を試そうと質問をしてくる方も多くおりますので、工事の評点をあげるためにも、覚えておいて損はないと思います!これからも現場で使える記事を発信していきたいと思います。

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