ここ10年でどう変わった?世界の太陽光発電事情について深堀り!

近年、脱炭素社会の実現に向けて再生可能エネルギーへのシフトが盛んになっています。昨年12月に日本政府が提言した「カーボンニュートラル2050」やアメリカのパリ協定復帰などから、温室効果ガス削減のムーブメントが世界規模で起こっていることが分かります。また再生可能エネルギーの中でも比較的低コストで導入できる太陽光発電が日本で活発になっている今、世界の太陽光発電も隆盛してきています。そこで本記事では、世界の太陽光発電事情について詳しく述べていきたいと思います。

①世界の太陽光発電量はどのくらい?

環境エネルギー研究所が毎年作成している『自然エネルギー世界白書』によると、2019年現在の世界の太陽光発電量は627GWに上るとされています。これは日本全世帯の約2.5年分の電気消費量にあたり、非常に多いことが想像できるでしょう。今では大きな発電量を創出していますが、10年前の世界の太陽光発電量は現在の4%ほどで、急速に発展してきた発電方式だと言えます。2015年以降は毎年100GW程増加傾向にあるため、このペースで行くと2023年には1000GWを超え、さらに太陽光発電量が世界で増加していくことでしょう。

(自然エネルギー白書より筆者作成)

 

②世界の太陽光システム導入量

また国際エネルギー機関の報告書によると、2018末時点での太陽光発電システム累積導入数は、中国が171GWで一位, アメリカが62GWで二位、そして日本が56GWで三位となっています。第12次5ヵ年計画や第13次5ヵ年計画で明示された火力発電の抑制や投資金の増額などが、中国で太陽光システムの導入が進んだ大きな要素となっています。また日本の導入量が上位に食い込んだ理由として、2009年から開始された固定価格買取制度などが挙げられます。発電事業者が売電した電力を国が買い取るサポートを実施したことで太陽光ビジネスに参入する事業主が増え、それが導入量増加のきっかけとなったと推測できます。

(自然エネルギー白書より筆者作成)

 

③太陽光発電の急激な発展 —投資額の増加—

国連環境計画のプレスリリースは、2010年から2019年末までに増加した発電量のうち太陽光技術による発電が他技術を抜き一位であると発表しています。これは再生可能エネルギー投資額2.6兆ドルのうち、約半分の1.3兆ドルが太陽光発電事業へ投資されたことが主な理由となっています。下のグラフから火力発電単位で見ると石炭とガスによる発電が多くなっていることが見受けられ、また太陽光発電を始め、風力発電といった他再生可能エネルギーも増加傾向にあることが見て取れます。

(UNEPより筆者作成)

 

④東南アジアの太陽光発電事情

現在東南アジアでは急速な工業化による経済発展に伴い、激しいエネルギー消費による電力不足に陥っています。自然エネルギー財団の『東南アジアにおけるエネルギー転換』によると、2000年から2017年の間で東南アジアにおける総一次エネルギー需要は約1.8倍の6.74億トンに増加しています。これは工業や建築業の発展により電力需要が伸びたことが要因であり、総一次エネルギー需要の内電力部門が50%を占めています。

(自然エネルギー財団より筆者作成)

また東南アジア総人口の9%にあたる5,800万人が、いまだに電力の利用ができない状態です。(自然エネルギー財団, 「東南アジアにおけるエネルギー転換 ―石炭から自然エネルギーへ」2017年現在)。一部の国の都市部スラム街でも電力供給が間に合っていないとの報告もあるため、東南アジアでは化石燃料に頼らない電力供給を安定的に行う必要性が大いにあると言えます。

特にベトナムでは2020年5月、政府による節電強化指示が発出されました。急速な経済発展に伴い、ベトナムの電力需要は発電量を上回る年平均10%で増加しています。2025年までの5年間で、政府機関や国営企業などは5%、レストランやホテル、商業施設などを営む事業者などは地域の電力会社の計画に応じて、夜間の屋外照明や広告などの消費電力を50%も削減する必要があるとされています。節電を行うことで十分な電力供給を確保する狙いがありますが全体発電量が増加している訳ではないので、安定的な電力供給システムの導入を急ピッチで行う必要があると言えます。

また、2016年に原子力発電中止を決定したベトナム政府は十分な電力供給が得られず、2017年には、政府はそれに代わる太陽光発電の固定買取価格や優遇処置などを定めた首相決定を発表しました。「国内総電力における再生可能エネルギーの比率を2030年までに21.0%まで引き上げる」との計画も発表しており、今後太陽光発電事業の発展が加速することでしょう。

加えて経済産業省の「国内電力事業者の海外展開戦略とアジア諸国の市場分析」によると、ベトナムの再生可能エネルギー・省エネルギー分野には外資規制は無く、むしろ外資奨励領域として設定されています。国内資本だけでは開発力が乏しいためIPPでは外資を活用するという政策を取っており、今後も外資の流入が増加すると予測できます。

 

以上、ここ10年で起きた世界の太陽光発電事情について見てきました。世界規模による脱炭素により太陽光発電事業はさらに追い風を受け、世界でビジネスチャンスが広がっていくことでしょう。今後も世界の太陽光発電事情の動向に注目です。