農業×太陽光発電|今話題のソーラーシェアリングとは?

近年、個人所有する車をシェアするカーシェアや空き部屋をシェアするAirbnbなど、モノや空間をシェアする動きが進んでいます。これは自動車業界や宿泊業界だけに留まらず様々な業界に波及しています。

農業業界も例外ではなく農地を農業生産(地上)と太陽光発電(上空)の二部門でシェアするソーラーシェアリングが今日話題になっています。脱炭素社会の実現に向けて今後益々導入の動きが高まることでしょう。

ソーラーシェアリングで具体的に何が出来るのでしょうか?農園経営者にどんなメリットがあるのでしょうか?本記事では数値を用いて解説しています。

ソーラーシェアリングとは?始めるためには?

ソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)とは、太陽光を農業生産部門と発電部門とで共有する取組のことです。農地に支柱を立て、上部空間にソーラーパネルを設置することで、農業を営みながら発電事業者として発電を行うことができます。作物による販売収益だけでなく、再生可能エネルギー電力売電による収入発電電力の自家消費荒廃農地の活性化など農業経営改善に繋がる新しい方法として近年注目を集めています。

農林水産省によると、ソーラーシェアリング設備の下部農地で栽培される作物は、小松菜や白菜といった野菜類、さかき、しきみといった観賞用植物などであると報告されています。これら作物は比較的太陽光を必要としない種類であり、太陽光パネルによる遮光を前提としていることがうかがえます。

また、ソーラーシェアリングを事業に組み込みたい農園経営者は、まず農地を一時的に転用させる必要があります。ソーラーパネルを設置するための骨組みである支柱の部分が転用対象となっており、農地法第4条(権利も転用する場合は第5条)に基づき土地の種類を一時的に転用させることが義務付けられています。2018年5月15日には、農林水産省よりソーラーシェアリング促進策として設置にかかわる農地転用許可制度の取扱いの見直しが行われ、土地の上限転用年数が条件付きで3年から10年に引き上げられました。これにより頻繁な再許可の手間を省け、長期の農業経営計画を立てることが可能となったのです。

システム導入がしやすくなったため、2021年以降も導入数が増加することでしょう。

農地転用許可数はどうなっているの?

農林水産省によると、2018年時点でのソーラーシェアリング総許可数は1,992件となっています。この数値は5年前の2013年総許可数の約20倍であり、年20%も増加している計算です。急激な伸長の主な理由として挙げられるのは、2012年から開始された固定価格買取制度(FIT制度)です。2012年開始当時の太陽光発電による電力の売電価格は1kW当たり42円(出力が10kW以下)と高価格で推移していたため、発達する太陽光マーケットに参入する農園経営者が年々増加したと考えられます。

また、ソーラーシェアリング設備下部の農地面積もここ5年で急激に拡大しています。農林水産省のデータから、2013年ではわずか19haだった農地面積が、2018年ではその約30倍である560haまで増加したことが分かります。

今後脱炭素の動きにより再生可能エネルギーブームが加速することが予測されるので、過去5年間の伸長ペースよりも更に早いペースで農地面積の拡大が行われることでしょう。

ソーラーシェアリングによる売電収入、今後どうなる?

ソーラーシェアリングでの太陽光発電による収入として、FIT制度に基づく売電収入があります。2012年に開始されたFIT制度ですが下の図からも読み取れる通り、年々売電価格が下落しています。また、FIT制度による買取は毎月の電気代に加えて電気を使うすべての利用者から徴収されており国民の負担が年々増加傾向にあることから、いつFIT制度が終了するか予測できません。そのためFIT制度だけに依存するのは危険であると言えるでしょう。

では、他にどの手段があるのでしょうか?数ある中でも近年注視されているのが、コーポレートPPAです。コーポレートPPA(Corporate Power Purchase Agreement)とは、企業が独立している発電事業者と直接、長期間の電力購入を結ぶことを指します。公的な再エネ支援制度を利用せず、民間企業と個別で契約を結ぶため、FIT制度が終了しても安定した売電を行うことができるのです。現在CPPAではメガソーラー事業者との契約が主流ではありますが、今後中小企業も主要電力を再生可能エネルギーに変えることが予測されるため、小口の発電事業者のニーズも増加する可能性があります。

以上、ソーラーシェアリングの可能性について紹介しました。今はまだマイナーなソーラーシェアリングですが、世界規模で行われている脱炭素への動きから、今後農業事業者にとってメジャーなものとなっていくことでしょう。今後の動向に注目です。

 

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