言語学的分析!SDGsに向けた建設×サステイナブルの世界のトレンドワードは?

サステイナブルへの関心の高まりがあり、建設業界でもSmart city やGreen city、Smart construction、 Sustainable construction、 Green building など多くのワードが出現してきました。Green ○○、Smart 〇〇 、Sustainable ○○がたくさんある中、どのワードが現在のトレンドなのか、または今後のトレンドになってくるのか、疑問に思っている方も多いのではないのでしょうか。

今回は海外のアカデミアでも多く使われているGoogle ngram viewerというツールを使い、この疑問に答えるような建設業界言語学的分析を行っていきます

 

建設×サステイナブルとは

サステイナブルとは「持続可能な」と言いう意味で、ビジネスでの文脈でも語られることが多くなってきたSDGs(Sustainable Development Goals : 国連が定める「持続可能な開発目標」)では環境問題の解決、貧困問題の解決、パートナーシップの重要性、幸福の追求などの項目が大きなテーマとして掲げられています。

建設業に焦点を当ててみるとサステイナブルとはどういったものになるのでしょうか。建設業は昔から危険と隣り合わせだと言われていきました。そうした面から建設現場の安全性を追求したサービスや商品などはサステイナブルだとよく言われます。

加えて環境面の文脈からも、建設×サステイナブルは大きなうねりを起こしています。例えば従来オフィスビルはエネルギー消費量がかなり多く、ヒートアイランド現象を生む主たる要因だとの指摘も重なって環境への高負荷が問題視されてきました。しかし、空気の循環や、日当たりなど構造の見直しや最新テクノロジーの導入で変革し、エネルギー消費を抑えたGreen building やSmart building なども多く誕生し、改善が図られ始めています。また街単位でもSmart city やEco cityなどの言葉が広く使われるようになっていました。

今回の記事はこうした建設×サステイナブルを言語学から分析し今の世界のトレンドを探っていきます。本記事では〇〇City(都市)、○○Construction(建設)、○○Building(ビル)の三つのワードに焦点を当て最新のデータで分析していきます。

Google ngram viewer とは

今回の分析ツールであるGoogle ngram viewerについて少し説明していきたいと思います。本ツールは一言でいうとあるワードもしくはフレーズの時代ごとの使用頻度が分かるツールです(=そのワードの時代に応じたトレンド具合が分かる。)

現在Googleは多くの書籍を電子化しデータベースにためています。そのデータを利用し、ある語句・フレーズが蓄積されている全データ(単語・フレーズ)に対しどのくらいの割合を占めているか(平均的にどのくらい書籍の中で、あるワード・フレーズの頻出頻度があるか)を可視化してくれるツールです。

例えば、Sustainabilityというワードを見ていきましょう。上図がGoogle ngram viewerでSustainabilityを調べた結果です。サステナビリティは1980年ごろから叫ばれ、2000年過ぎから国連や企業単位でも注目を集めるトピックとなりました。それに応じサステナビリティについて書かれた本も多く出版されてきました。上図の右肩上がりのグラフは本現象を的確に表しています。

このようにGoogle Ngram viewerはあるワードやフレーズの時代ごとの注目度増減が一目でわかるのです。残念ながら日本語版はないので今回は英語版で世界のトレンドを分析します。

 

分析対象は

City:都市 (smart city: スマートシティ、 green city:グリーンシティ、 sustainable city:サステイナブルシティ、 eco city:エコシティ)

Construction:建設 (smart construction:スマートコンストラクション、 green construction:グリーンコンストラクション、 sustainable construction:サステイナブルコンストラクション、 clean construction:クリーンコンストラクション)

Building:ビル (smart building:スマートビルディング、 green building:グリーンビルディング、 sustainable building:サステイナブルビルディング、 clean building:クリーンビルディング)

上記についてGoogle ngram viewerを使いどのワードが現在流行っているのか、今後のトレンドはどうなるのかを分析していきます。

建設×サステイナブル分析① 都市系(city)はどのワードが流行っている?

Google ngram viewerより

上図が、1970年から2019年の間、Google ngram viewerのデータ推移です。対象語句は

・smart city(青)

・eco city(赤)

・green city(オレンジ)

・sustainable city(緑)

の上記四つです。

最も特徴的なところはスマートシティが2010年過ぎから大幅に伸びているところでしょうか。様々な英語の本・文献でsmart cityというワードが急速かつ大量に出現するようになってきたことを示唆しています。

全体的なトレンドを見ていくと、1990年ごろからサステイナブル×都市のワードが少しずつ伸びてきました。下図でそれぞれのワードがどのような伸びをたどってきたのか見ていきます。

 

Google ngram viewerより

1990年はeco city やgreen city, sustainable city などのワードが少しずつ文献に登場しています。しかし2010年からのSmart cityの文献出現頻度はこれら三つのワードの伸びをはるかにしのぐ伸びを見せています。いわゆる少し“バズワード”となっている状態です。

やはり、ICT設備やAI、IoTなどの技術革新によって、人々の関心がスマートシティに向かっているのでしょう。

建設×サステイナブルの言語分析② 建設はどういったトレンドなのか

Google ngram viewerより

続いてはConstruction:建設です。

・Sustainable construction(オレンジ)

・Green construction (赤)

・Smart construction(青)

・Clean construction(緑)

の上記4つをGoogle ngram viewerで調べてみました。

今回の分析ではSustainable constructionが建設×サステイナブルで文献上にて一番よく使われていることが分かりました。Green construction というワードも多く使われていますが、こちらは減少傾向あります。意外にも上記二つのワードと比較するとSmart constructionというワードはまだあまり使われていない現状を示唆する結果が現れました。

続いて1つずつの増減傾向を見ていきましょう。

 

Google ngram viewerより

1つ1つの増減傾向を見ていくと、四つのワード全体比較ではsmart constructionの出現率は低かったですが、ここ5年でくらい急速に文献上でsmart constructionの出現率が上がってることが分かります。今後も急速にSmart constructionについての文献が多く執筆されることが予想されます。Smart construction 程ではないですが、Sustainable constructionも順調に右肩上がりで上昇しています。

一方、4つの比較では出現率が高かったGreen construction は、ここ10年くらい減少傾向に入っています。やはり環境面の成果だけを前面に出したGreen constructionよりもICT技術を組み合わせ、効率化を追求しつつ、環境面のプラスも見込んだSmart construction などのワードが今後、急速に伸び続けていくのかもしれません。

建設×サステイナブルの言語分析③ ビルについてはどのようなトレンドか?

Google ngram viewerより

続いてはビルについて対象語句を

・smart building (青)

・sustainable building (赤)

・clean building (オレンジ)

・Green building (緑)

の上記4つにして分析をしていきます。

ビルに関しては上記の図よりGreen buildingのワード出現率が他の三つのワードに比べて大きくなっていることが分かります。Green buildingについて調べますと、ビル全体の空調システムや日当たりを工夫し、エネルギー効率を追求したものから、屋上に植物を植え冷却効果を狙ったものまでさまざまあります。

日本でもこれらの取り組みは盛んでグリーンビルディングというワードを耳にしたことがある方は多いのではないのでしょうか。サステイナブルの文脈でビルに関しては、Greenとの親和性が現状、とても目立っています。

続けて、1つずつのワード出現率の増減を見ていきます。

Google ngram viewerより

ご覧のようにやはり、他のConstruction やCityとの組み合わせと同じように、smart buildingが急速に伸びているのが分かります。一方他のワード(sustainable building、clean building、green building)は伸びが鈍化していたり、減少していたりしています。Green building や sustainable buildingが今後、再度伸びていくのかは注目のトピックとなりそうです。

建設×サステイナブルの言語学的トレンド分析総括

City、Construction、buildingの三つのワードとサステイナブル系ワード(Smart Clean, sustainable, green, eco)との組み合わせトレンドを分析していきました。

Smart ○○はここ直近の10~5年で大きく伸びていることが三つすべてのワード分析でわかりました。やはり最近のAI やICT、IoTの技術革新への注目度が高く、本トピックに関する文献が多く世に出ているのでしょう。

特にSmart city についてはほかの組み合わせを大きくしのぐほど現状でもかなり多くの文献で使われているのが分かります。一方で、Smart constructionやSmart buildingはまだ発展途上の段階でGreen building やSustainable constructionなどのワードの方が現状多く使われている結果が示されました。しかし急速にSmart○○が伸びていますので今後この結果が変わってくるのか注目です。

今回は分析ツールの制約上、英語ベースでのリサーチとなりましたが、日本でも建築×サステイナブルの文献・研究・事例がたくさん出てくるのが楽しみです。