なぜ今、木造高層ビル?林野庁のデータから分かりやすく解説!

鋼で造られた高層ビル。筆者は都心に住んでいますが、街に出かけると必ずと言ってよいほど鉄鋼やコンクリートでできた高層ビルを目にします。そんなビル群が、木造に変わる未来が近々来るかもしれません。本記事では、今注目を集めている木造ビルについて、林野庁のデータを用いながら分かりやすく解説しています。

なぜ木造ビルが注目を集めるようになったのか?

これは世界的な環境保全の動きが影響していると考えられます。オゾン層破壊や地球温暖化、熱帯林の破壊などの問題が深刻化した20世紀末頃から、世界の意識は環境保全に向き始めました。その中でも地球温暖化問題は、気候変動による多様な生物の喪失や私たち人間の生活を変容させる問題として、世界的に解決しなければいけない課題の一つとしてSDGsに掲げられています。地球温暖化の主な原因は二酸化炭素(CO2)だとされているため、その排出量を森林等の二酸化炭素吸収量と同等以下にしようというのが現在の世界的な潮流となっています。この脱炭素の動きを受けて、2020年10年、菅内閣総理大臣は2050年カーボンニュートラル、脱炭素社会の実現を目指すことを宣言しました。これにより、企業は環境保全の社会的責任が発生し、環境を考慮した施策を求められるようになっています。

なぜ木造ビルなのか?

二酸化炭素は資材を製造する際に多く排出されます。下のグラフは、各種材料製造時における1㎥あたりの炭素放出量を表しています。グラフより、鋼材は5320kgの二酸化炭素を排出しているのに対し、木材は平均して124kg、すなわち鋼材の約43分の1しか排出していないことが読み取れます。鋼材のCO2排出量が多いのは、鋼の主成分である鉄鉱石や石灰石を火力発電で銑鉄するためで、製造の初期段階で大量のCO2を排出してしまうのです。(ちなみに、この5320kgは人間が約15年間で吐き出す二酸化炭素量と同等だそうです。) 鋼を資材とする建築物を建てる過程で多くのCO2が発生してしまうため、とりわけ大量の資材を用いる高層ビルの木造化が脱炭素の一歩になると考えられています。

(出典:林野庁データから筆者作成)

また木材は、二酸化炭素の固定化という点で地球温暖化に貢献しています。森林の木々は、空気中の二酸化炭素を吸収しながら成長を続けています。取り込んだ二酸化炭素(CO2)は、木々の内部で炭素(C)に変換され、炭素(C)を原材料として幹や枝葉を構成する基本的な物質をつくりあげます。つまり、木材は空気中から取り込まれた二酸化炭素を原料にした産物であると言えます。枯れたり燃やしたりしない限り、炭素は木材の中に留まるため、木材は二酸化炭素を固定化する役割があるのです。そのため、建築物の中でも特に多くの資材を用いる高層ビルに木材を用いることが、CO2削減に繋がるというわけです。

木材ビル事例 ①2025年完成予定 日本橋 木造高層ビル 竹中工務店・三井不動産グループ

この木造高層ビルは、現存する木造高層建築物として国内最大・最高層となる、地上 17 階建・高さ約 70mに及び、木造ハイブリット構造で建設されると竹中工務店の発表で明らかになっています。三井不動産グループと共同で事業展開をしており、「三井不動産グループが北海道に保有する森林の木材を積極的に活用し、建築資材の自給自足、森林資源と地域経済の持続可能な好循環の実現を目指す。」とされています。防災面では、竹中工務店が開発した、最先端の耐火・木造技術による耐火集成材「燃エンウッド®」を採用し、主要な構造部材にはこれが用いられるようです。また、同規模の一般的な鉄骨造オフィスビルと比較して、建築時の 二酸化炭素排出量を約20%削減することを想定しています。

画像出典:竹中工務店「三井不動産と竹中工務店、日本橋にて国内最大・最高層の木造賃貸オフィスビル計画検討に着手」

木材ビル事例 ②2022年完成予定 横浜 高層純木造耐火建築物 大林組

こちらは大林組が手がける、地上11階の高層純木造大家建築物です。これは、自由闊達なコミュニケーションに誘発され、新たなイノベーションや企業文化を生み出すことをコンセプトにした施設で、耐火木造技術「オメガウッド(耐火)」を用いた構造部材を用いて建設が進められています。また鉄筋コンクリート造と同等の強度で高層化するため、柱と梁を一体化する「金物を使わない剛接合仕口ユニット」を開発し、木材でありながらも高剛性、高靭性, 高耐性を実現しています。

画像出典:大林組「日本初の高層純木造耐火建築物の建設に着手」

終わりに

SDGsや政府による発表からも分かる通り、世界的に環境保全への意識が高まってきています。木材を活用した建築物、特に木造高層ビルは脱炭素社会の実現に向けて魅力的ですが、次々に建設すると却って環境破壊に繋がってしまう恐れもあります。そのため、竹中グループのCSRビジョン「森林グランドサイクル」のような木材を使ったら植林するといった、持続可能な活動を企業は行っていく必要があるでしょう。

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